散歩をしていてよく思うのは、小さい犬ほどよく吠えて、大きい犬は意外とおとなしかったりします。
人も犬も見かけに寄らないという事で、きょうは一つ、心温まる小話です。
ある駅のバス停で
用事でとある地方に行ったときのお話。
その向かう先が、電車からバスに乗り継いでいく場所だったので、駅からバス乗り場へ向かっていくと、そこに5人ぐらいでたむろしている若者がいました。
見た目は高校生くらの年齢だったでしょうか。
髪を茶髪にしたり、だぼだぼのジャージ姿で着崩した服装をしていたので、私もちょっと敬遠して、遠巻きにバス停に並んでいました。
しばらくするとバスが到着し、降車する人を待って乗降口が空きましたが、その若者たちはバスに乗る気配がありません。
私は「なんだ、乗らないのかい!」と思いながら、その子たちの前を横切りバスに乗りました。
すぐに定時になり、バスは扉が閉まり出発します。
その時、私がふと、バスの窓から外を見ると、一人のお婆ちゃんが慌ててバス停に駆け寄ってきています。
きっと、このバスに乗りたいんだと思いますが、無情にも運転手さんは気が付かずにバスは出発してしまいました。
私も時刻表を見て確認しましたが、地方都市のため、1本バスに乗り遅れると30分次のバスが来ません。
私も運転手さんに声をかけてバスを止めてもらおうと思いましたが、こういう時って、とっさの勇気がなかなか出ないものです。
バスがターミナルからどんどん離れていって「どうしよう・・・」と思った時、外から「バス、待ってー」「運転手さん、待って―」と声がするではありませんか。
外を見てみると、先ほどたむろしていた若者たちが、大声を出しながらバスを追いかけています。
その姿をサイドミラーで確認した運転手さんはバスを停止。
扉を開けて「どうしたの?」と若者に尋ねると、「お婆ちゃんが乗りたいって」と一言。
私は思わず、若者たちの優しさに感動して泣きそうになりながらも、人を見た目で判断していた自分を反省しました。